僕はただのbarのオーナーです
「澪?」
『翼…。』
無事なのは分かってたけど、面と向かうと安心する。
「どっか行くのか?」
『…凜音さんから呼び出しですので』
一瞬敬語で話すか迷った。
今までは迷ったことないのに。
心の中って言えばいいのかな?
それは裏に触れる前の僕でいられる。
それが出来るようになったのは、僕自身に余裕ができたからなんだと思う。
けど、表で素を出すにはまだ未熟でどこか信じきれない自分もいる。
今までは頭の中で考えるときも敬語じゃないと、なんだか何か分からないものに飲まれそうで怖かった。
それでも、前を向いて生きるって決めたから。
もう、自分を捨てたりなんかしない。
「凜音さん?」
『はい。本格的に汐が狙われそうなので対策に。』
「それ、俺も行っていい?」
『‥‥真実を知ってもここにいようとするんですね。』