僕はただのbarのオーナーです
cocktail.9
翼side
『そーいや。
迎えって誰?』
「翼も知ってる人ですよ。」
黒のスラックスに、水色のカッターシャツ。
黒のジャケットを羽織った、黒羽でもなく雫石のオーナーでもない澪は面白そうに笑って言う。
要さん?
いや。
要さんがわざわざ俺らの足になるわけない。
凜音さんは呼び出した側だから、迎えに来るなら澪の家で話せばいいし‥‥。
ほかにいたっけ??
そんなことを考えていると、目の前にある黒の車。
つか、ベンツ?
高級車だし中は見ないはずなんだけど、澪は何の躊躇いもなく窓を三回ノックする。
すると窓が開けられて中の人が顔を覗かせた。
『あ!あの時のおねぇ!!』
「失礼なガキだな。
おい、澪。ちゃんと躾しとけ。」
「ふふっ。私も初めは同じ反応だったではありませんか。
許してあげてください、秋雨さん。」
あれ?
おねぇじゃねぇの?
つか、澪と顔見知り?
「翼。
この人は荻原 秋雨-ogiwara shuu-さん。
警視庁 裏得策部のトップの方ですよ。」
『警視庁 裏得策部?』
「まあ、とりあえず車に乗れ。
中で説明すりゃいいだろ。」
「そうですね。」