僕はただのbarのオーナーです
「よくわかったなー」
『壱条さんがここに〝お酒〟を欲しに来るときは大抵めんどうごとを抱えておいでですから。』
「さすが雫石さん。察しがいい。」
『どの〝お酒〟をご所望ですか?』
barでは普通の会話。
けど壱条さんからすればきっと、裏の会話。
まさか僕が裏の会話をしないといけないなんて。
別に、多重人格とかじゃありませんから〝依頼を受けるのは〟結局、神月 澪という僕自身なんですが…
気の持ちようというものがあるじゃないですか。
僕は平和に生きたいのですよ。
もちろん、イライラしたときは鬱憤を晴らすために喧嘩しますし、この店が怪しいというのも否定しません。
それがあるべき雫石の姿ですから。
しかし………ねぇ?
「一番高いので。」
『今回は奮発なさりますね。
用意に1週間いただきますがよろしいですか?』
「4日。それ以上は待てない。」
『鬼畜ですね。僕の仕事を増やす気ですか。』
「とか言いながら用意してくれるだろ?雫石さん?」
『仕方ありません。4日後。自宅にお届けいたしましょう。』
「ありがとなー。
なぁ、お前ら飲むだろ?俺と飲まねぇか?」