僕はただのbarのオーナーです
澪side
翼といるとついつい本性がでてしまいますね。
まあ、それだけ付き合いが長いということなのですが。
あの方は俺らを駒としてみているわけではありません。
あの方は実の息子より私たちを心配なさる方ですよ?
全く……。
組長ともあろう方がたかだか高校生を我が子のように溺愛するなど。
信じられません。
翼は見ているんです。
己の両親を殺した犯人を。
しかし、その時の記憶が曖昧で色々と混ざっているのでしょう、
それをいいことに、私を含める凜音さん、壱条さ…要さん。
そして、要さんの父親であり私たちの恩人であり、壱条組組長 壱条洋-ichijou you-さんで策をくんだのです。
誰かが悪役になる必要があって、適任だったのが洋さんしかいなかった。
なぜ策を組まなければならなかったか?
あの日。
翼の両親を殺したのはKINGという組織のメンバーの1人。
裏の中にもルールってものはあります。
それは守らなければならないこと。
そのルールを破り、無害及び依頼なしにも関わらず〝試し切り〟という形でその命を奪ったやつがそこにいます。