曲げられない運命





あの日から、私はなにかと三成様を見かけることが多くなった。



ん?なんで、私が石田殿の事を三成様とお呼びしているかって?
そう、呼べと言われてしまったもので仕方なくなのよ。


ほら、今日もここで書物を読んでいらっしゃる。ここの廊下最近、私、通るからよく見かけるのよね。



「こんにちは、三成様。」


名前を呼ばれた三成様は、書物から顔を上げた。


「お、豊姫ちゃん。こんにちは、何か用だった?」
「いや、たまたま、近く通っただけです♡」
「そっか、それじゃあ、そっち終わったらまた来なよ。」


そう言われて私は、その場を去った。
果たして...このあと何しよう。

だってここには......
三成様に会いに来ただけだし...


なにが近く通っただけなんです。だよ!
会いたくて行ったくせに...!


もぅ!なんなの!!
なんか、私らしくない!


他の男にだって同じようなことされてきたし同じようなことしてきた。
だけど...こんな思いはしなかったし、複雑にだってなったことなんてなかった。


もぅっ!なんなのよ!!!
イライラする!!



「あ!!豊姫殿!!」
「あんな所に豊姫殿がいらっしゃる!!」



はぁ...ムカつく。
それでも、愛想を振りまくのが私なんだけど...



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