同僚は副社長様



いや、凪子は彼にとっても同期の1人だ。

覚えていて当然かも。

と言っても、副社長と凪子が仲良く会話してるところなんて一回も見たことないけど…。


そんなことを考えていると、外から凪子の声が。


『美都〜?まだぁ?』


ああもう。

廊下で待っててって言ったのに。

でも、副社長との話が長くなってしまって全然準備ができていない私も私か。


『中川さんか?』

「は、はい。実は今から、彼女とご飯を食べにいく予定で…少し、待たせすぎたみたいです。」


早く準備しないと。と思い、彼から離れて自分のデスクへ向かう。


『中で待ってもらったらどうだ。』

「…え」

『美都〜?ねぇ、聞こえてる〜?』


思わぬ副社長の気遣いに驚きながらも、確かにこれからやりかけの仕事を整理して出かける準備をするには、もう少し時間がかかりそうだと考えつく。


「あ、ありがとう、ございます。」


普段はよっぽどのことがなければ自分のテリトリーに人を立ち入らせない副社長だけに戸惑いながらも、その心遣いに感謝して、扉を開けた。


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