同僚は副社長様
『いや、急かしてるつもりじゃないから、ゆっくりでいいんだけどさ。』
「?」
『昨日のこと、どうなってるのよ?アンタたち』
妙にニヤニヤしている凪子の顔。
昨日と言われて思い当たることはただ一つ。
…とても、嫌な予感がする。
「…何が?」
『またとぼけちゃって!いつのまにか飲み会抜け出して、何してたの?』
ああ、やっぱり。
凪子は、昨日の夜、響くんと私が飲み会が終わっていないにもかかわらず2人で消えちゃったから、何かあると好奇心をむき出しにして今日ここにやってきたわけね。
響くんは、昨日の飲み会男性メンバーの中でピカイチに格好イイ男だったし。
そんな彼と、ずっと端っこで食い物を漁っていた私が共に消えたわけだから、興味を持つのも仕方ない。
…でも、何もここで話さなくてもよくない?
「何って…別に。何もしてないよ」
『そんな見え透いた嘘つかなくていいから!だって私聞いたし!友永さんと美都が下の名前で呼び合ってたの!』
「ちょっ…!」
え、うそ?
あんな隅っこで話してたのに、なんで遠くにいた凪子が知ってるの?
まさかあの時の会話を聞かれているとは思っていなくて、ただただ返す言葉が見つからない。