同僚は副社長様
––あぁ、疲れた。
凪子との食事を終えて自分のデスクに帰ってきた私は、げっそりと疲弊していた。
会社を出て食事から帰ってくる間ずっと、凪子の尋問は続き、それに答えるのに必死で、せっかくの日替わりランチの味もまともに味わえなかった。
響くんは友人のお兄さんで、凪子が考えているような関係じゃないって説得したけど、全然信じてもらえなかったしな…。
終いには、古川くんのことはすっぱり諦めて、響くんに気持ちを向けたほうがいいなんて言い出すし…。
「はぁ、」
『長瀬』
思わず職場でため息をついてしまった私に掛かった、冷たい声。
ビクリ、と必要以上に反応してしまった私は、ゆっくりと視線を冷たい声の持ち主へと向けた。
『午前中に頼んだ資料は出来たのか?』
数時間前より格段に厳格さを増した視線が、私を捉える。
うわ、不機嫌さ MAX なオーラ全開だわ……。
ここまで彼の機嫌を損ねてしまったのは、少なくとも私のせいだろう。
副社長はまだ仕事をしているというのに、その配慮もせずにペラペラとこの部屋で凪子と雑談していたのだから。