同僚は副社長様
私との普段の会話や行動で勝手に推測して、勝手に判断して、勝手に実行して。
その全てが勝手だけど、どれも間違っていないんだから、タチが悪い。それが、古川くんのやり方だっていうのは知ってるけど。
最大限の嫌味を込めた私の言葉に、彼は苦笑い。
「俺のワガママに付き合わせるのは悪いと思ってる。だけど、これだけは誤解しないで。…今日、美都が作ったご飯を食べて、これを毎日食べたいと思った。美都が作った温かいご飯が食べたい、ただそれだけ」
「…本当に?」
「ああ、心からの気持ち。栄養バランスなんて二の次。俺のために、1日3食毎日ご飯を作って欲しい」
ああもう。
そこまで言われたら、もう拒否の言葉なんて言えなくなる。
彼に対する反抗心も、一瞬で何処かへ吹き飛んで行ってしまった。
だって、古川くんが口にした言葉は全て、私への最高の誉め言葉だったから。
「…わかった。そこまで言ってくれる古川くんの要望を断ることはしないよ」
「じゃあ、作ってくれる?」
「もちろん」
素直に首を縦に頷くと、やった!と古川くんは喜びの色一色な表情で微笑んだ。
彼の役に立つことができる。
それだけで、私の長い長い片想いが救われて行くような気がした。