同僚は副社長様
「なっ…んで、ここで響くん?!」
「そんなに驚く?だって、この前あんたたち飲み会で会ったんでしょ?兄貴から聞いたよ」
「う、うん…」
「妹の私がいうのもアレだけど、顔は良いし、性格もそこら辺の男よりクセないし、就職先も一流企業、キャリアも順調、喫煙なし、ギャンブルなし、彼女なし。ね、優良物件っしょ?」
改めてそう言われると、確かに響くんはモテる男性の条件をいくつもクリアしている。
それに、響くんは幼少期から知っている間柄だから、気心も知れている。
でも、そんなすぐに気持ちを切り替えることなんて、、、
「身内を捕まえて優良物件なんて、とんだ言い草だな」
いつぞやの、飲み会を抜け出して2人で過ごしたあの日を思い出していると、当の本人が登場して唖然とした。
あの日と違うのは、ピシッとしたスーツ姿じゃなくて、ラフなシャツとジーンズ姿だ。
「響くん…!」
「おっそーい。待ちくたびれたよ、兄貴」
「俺も忙しいんだよ。今朝の電話で急に呼び出しくらって、ちゃんと来ただけでもありがたく思えよ。…久しぶりだね、美都。隣、お邪魔していい?」
「う、うん…」
突然のご本人登場に口が開きっぱなしで響くんを見つめる私とは対照的に、芽衣はブーブー文句を垂れ流している。