同僚は副社長様
「で?参加人数はどれくらいになりそうなんだ?」
「ん〜ざっと50人かな」
兄妹同士戯れあっていたのは数分程度。
いつの間にか本題の結婚式について話し合っている。
「じゃあ、新婦側は大体25人ってところかな」
「何言ってんの?美都。新婦側で50人に決まってるじゃない」
はい?
あっけらかんと言い放った芽衣を前にして、私も隣にいる響くんも目が点になる。
さっき、参列者は少なくするって言ってたよね?
「小規模の結婚式を予定してるんじゃないのか?」
結婚式のイメージに乖離があると感じたのは私だけではなかったようで、響くんが戸惑いがちに聞いてくれる。
「これでも厳選した方なのよ。もっと余裕があれば今の2倍は呼んでるわ」
「それでも、新郎側と合わせりゃ100人だろ?受付も二人で50人回せるか…」
「うん…私も結婚式の受付なんて初めてだし、スムーズにできるか自信ないよ、芽衣」
不安を色濃くさせる私と響くんだけど、芽衣は先ほどから私たちの心配なんてどこ吹く風でアイスコーヒーを嗜んでいる。
芽衣も初めての結婚式なのに、不安じゃないの?
マリッジブルーという言葉はきっと、芽衣の頭の中にはないのだろう。そう思えるほどの余裕が彼女からビシビシ感じられた。