同僚は副社長様
「大丈夫よ。招待者の来場時間を少しずつずらすし、兄貴は営業マンのトークスキルは抜群、美都だって秘書やってんだから効率の良い段取り組むのは得意でしょ?何かあったらそばに新郎側の受付もいるし、会場のスタッフもいる。何も、全て二人っきりって訳じゃないんだから」
そう言われると、なんだか私と響くんでできるような気がしてくるから不思議だ。
しかも、ただ近しい人間の響くんと私を選んだと思っていたけど、それぞれの特性を見込んでセッティングされた人選だったと知り、驚いた。
「ふーん、本当にお前は昔から人を見る目だけは長けてるよな」
「まぁね〜。ビビッとくんのよ、あ、この人はこれが似合うとか、この人はこれをやらせたら輝けるとか、この人と仲良くなれば楽しいだろうなとか」
「へぇ…」
芽衣の言うビビッと来る感覚を未だかつて人生で感じたことのない私は感心して頷くだけ。
長年、彼女の親友として過ごしてきて、私は芽衣にとって楽しいと思える存在だったのかな、と少し嬉しくなっていたのに、何故かニヤリと企み顔を見せた芽衣と目が合ってドキッとする。
「それと、この人とこの人は相性がいいだろうな、とかもね」
「え…」
別に固有名詞を出されたわけでもないのに、私と響くんのことを言っていることは、数十分前の彼女との会話と、芽衣が送った視線で分かってしまった。
その瞬間、顔を赤らめてしまい、俯く私の隣で、響くんは芽衣の意図をわかっていないのか、オーダーしたブラックコーヒーを飲んでいる。