同僚は副社長様
「あっそ。だからって、あまり他人の恋路に茶々入れてると疎まれるから程々にしとけよ」
「身の程は弁えてますよ〜だ。でも、こうでもしないと、全然進展しないんだもん」
「はぁ?さっきから誰のこと言って」
「そっ、それより!結婚式!受付の話をしよう!?ねっ!」
これ以上は響くんに気付かれる!と危惧した私は、顔を赤めたまま牽制した。
私の顔を見た芽衣は案の定、ニタニタと意地の悪い顔で笑ってるし、響くんはハテナマークを浮かべてる。
「美都?どうした?顔真っ赤」
「わ、私のことは良いの!」
「いやでも…」
「まぁ、良いじゃん?兄貴。結婚式の話に戻ろう。当日まで頻繁に打ち合わせできるとは限らないし。今日で詰められるところは詰めておきたい」
「あ、ああ…」
隣から刺さる響くんの視線が痛い。
ただでさえ、芽衣の意図によって意識させられているのに、この至近距離で見つめられるとさらに体温が上昇して火照ってしまいそうだ。
親友のフォローで話題を元に戻せて安堵はしたが、元はと言えば芽衣が余計なことを言ったことが原因だ。
一筋縄ではいかない親友にお手上げになりながらも、私も打ち合わせの続きに意識を集中させた。