同僚は副社長様
「ふーん、なるほどな。引き出物は決まってるみたいだし、俺らが準備しなきゃいけないのは、当日の受付で渡すコサージュ作りと来場者に渡す品々を個別に包装することくらいか」
「そう。ま、二人は裏方的存在だから、その後の披露宴も受付よろしくね!」
「えっ、披露宴も?」
どうやら、私と響くんはほぼ裏方として当日は動かなきゃいけないらしい。
残念…。芽衣の晴れ姿楽しみたかったし、芽衣の旦那さんのツーショットとか記念にたくさん写真撮ろうと思っていたのに。
「やっぱり、披露宴のことも任せたら負担かな?」
「う、ううんっ!頑張るねっ」
「さすが親友〜!ありがとう」
楽しげに披露宴で着る予定のドレスの話をし始めた芽衣に気付かれないように、小さなため息をこぼした。
親友の一大イベント。
主役として皆に祝福される姿をカメラに納めたい気持ちは山々だけど、これは諦めるしかないかな。
「あ、あと大事なこと頼むの忘れてた。私と彼のメッセージ動画、撮影カメラマンとして美都よろしくね」
「えっ…」
「美都、高校時代は写真部だったでしょ?兄貴はPCスキルに長けてそうだから、動画編集をヨロシク」
「おい、コラ。いくらなんでも人遣い荒すぎだぞ」
二の矢、三の矢と矢継ぎ早に舞い降りてくる頼み事に、気が遠くなりそうになる。
ただでさえ、受付準備も並行しなきゃいけないのに、メッセージ動画なんて作れるのかな。
そう思ったのは私だけではなかったようで、さすがの響くんも反論してくれた。