彼と私の事情
席替え
ふぁー、っと欠伸をひとつかいて
電車のドアが開き
人混みに流され電車を降りる
まだ肌寒さが残っている4月下旬
どこの学校を見ても
女子高生のスカートは馬鹿みたいに短い
『…無敵だなJKわ』
改札口を出て呟いた私に
「お前もJKだろ。何だよそのスカートの長さ」
と後ろから愚痴をこぼす
私の『おはよう』も無視して
「3回くらい折れよ、何か地味に見える」
と続ける彼氏の水野翔
1個上の先輩で高校3年生
制服を気崩して髪はワックスで
固めた焼きそば
見た目はかなり派手だけど
その派手な見た目にピッタリな
綺麗な顔立ちをしてる
学校で知らない人は居ないくらいの有名人
そんな翔は彼女の私にうるさい
< 1 / 12 >