さすれば恋となる
「 詩乃… お気の毒 」
「 元気出して 」
気の毒で元気すら出ない。
心情は複雑……
緋衣呂君からは何も聞けないのが辛い。
会いたいなぁ……
会えなくてもいいから家の前まで行く?
あ、でもどのバス線だったかなぁ
やだ私、覚えてない!
ひー、最悪っ
なんなの私は~ ダメ彼女か!
「 詩乃、呼ばれてるよ 」
「 え? 」
見れば見知った顔がニコリと笑った。
「 詩乃、誰?」
「 緋衣呂君のクラスの子、相瀬 実理さん 」
デパートで会った彼女は緋衣呂君が好きで告白しフラれた。
その彼女から一緒に来てほしいと頼まれた事。
「 え、私も緋衣呂君の家に?」
「 休んでる分のノートとかね渡したいの 」
なぜ私まで?
「 会いたいだろうなぁと思って、どう?」
そう言ってくれた彼女に、私は感謝しかなかった。
だから、行くと決めた。
何より緋衣呂君に会えるかもしれないから。