さすれば恋となる
帰り道、すれ違う誰かに声をかけられた。
「 ねぇ! もしかして緋衣呂の彼女?」
聞かれて頷くと、そばに駆け寄りニコッとした人は……
「 石嶺 風磨、緋衣呂の親友、よろしく 」
緋衣呂君よりも明るさを感じる彼は、石嶺 風磨君と言う。
私も自己紹介し、彼女ですと言った。
「 今から緋衣呂んとこ行くんだ、伝言ある?伝えるよ 」
「 あ、じゃあ… ラインするねって 」
「 それだけ?もっとないの? 」
「 えっ ないです、なんか恥ずかしいし 」
なんで恥ずかしいのかと、笑われた。
伝言は必ず伝えるからと行ってしまった。
私は初めて会った、緋衣呂君を親友だと言う人に。
また、緋衣呂君の事が知れた。
そして詩乃が帰り、緋衣呂の部屋には風磨が。
「 彼女、さっき会ったぞ。詩乃ちゃん、だっけ 」
「 気安く詩乃ちゃんとか言うな 」
「 はいはい、でも詩乃ちゃんだろ 」
ムッとする緋衣呂に、風磨は静かに尋ねた。
「 詩乃ちゃん、知ってんのか?」
その言葉に緋衣呂は目を伏せた……