さすれば恋となる
風磨君に彼女がいない。
それがまた不思議で……
緋衣呂君のが上だと私だけが思うところ、風磨君は緋衣呂君より背は高くて爽やかさん。
「 なんでいないの?」
「 いや、まぁ なんでかなぁ 」
「 まさか本気で緋衣呂君…… 」
「 ちゃんと女が好きだから!」
ちゃんと?
「 俺には役目があるって言うか… 」
んん?
ゴニョゴニョと小さすぎる声で聞き取れない。
風磨君が少し顔を赤らめてて、尚更わからない。
そして、私を見て… じっと見つめている。
「 風磨君?」
「 あ… 」
俯く風磨に役目とは何かと聞いてみたが、苦笑混じりに内緒だと言った。
オレンジティーが冷めてしまった頃、風磨君に送られて帰ることに。
「 詩乃ちゃん、俺も暁月が行く別荘に行くんだ、緋衣呂に伝言ある?」
伝言……
「 私を恋しがってって、伝えて 」
それからバスで私は自宅へと帰った。