さすれば恋となる
冬休み、終業式後の事。
「 詩乃~ お迎えだよ!」
そう言われ緋衣呂君かと見ると違った。
風磨君……
「 どうしたの?」
「 緋衣呂じゃなくてごめん 」
「 え、ううん!全然っ 」
顔に出てたかな……
「 一緒に帰ろ、話したいことあるし 」
「 話?」
何… いい話とかじゃない気がする。
少し不安に思いながら風磨君と校舎を出た。
不意に風磨君が私の手を繋いだ。
「 風磨君… 」
なんで手を?
何… 怖いよ風磨君……
「 緋衣呂のとこへ行こうか 」
ドク、ンッ… 跳ねた心臓。
それは痛いという表現であってると思う。
緋衣呂君は大丈夫なの?
そう風磨君に聞きたい、でも怖くて聞けない。
「 駅で待合せ、7時半に。待ってるから 」
風磨君はどこか元気なくて、私は頷いただけ。
私は叔父の店ヒイラギに寄った。
そして、行かなければと、行かせてほしいとお願いした。
「 いいよ、行っといで詩乃。冬休みだしな 」
叔父さんは優しい顔で許してくれた。