さすれば恋となる
私をギュー… と抱きしめる緋衣呂君は何だか違う人みたいでした。
緋衣呂君が行こうと行って手を繋いでくれた。
痩せた感じはしても、緋衣呂君が側にいることが嬉しくてたまらなくて……
繋いだ手を自分の頬にあてた。
緋衣呂君…
私の緋衣呂君……
「 詩乃 」
「 …え…… 」
わ、嘘……
緋衣呂君が私と繋ぐ手の甲にキスを。
ビックリして、プチパニック。
雪が舞う中で空気は冷たいのに、私の顔は熱くてたまらない。
「 ほらほら、早く行くぞ~ 」
風磨君がイチャつく私と緋衣呂君に呆れて早く行けと促す。
私たちは笑い、一時の再会を喜んだ。
でも、それは喜べないものと変わるのに時間はかからなかった。
池沢邸、別荘。
ひっそりと静かな空気は悲しみを漂わせていた。
「 風磨、案内してあげて 」
パッと私の手を離した緋衣呂君。
手にあった温もりが急に冷えてしまった……