満月の存在。
翔「そ?あ、そういえば、文化祭、かのんも来るよね?」

『文化祭?』

あー……、翔が出るとかなんとか言ってたやつね。
出る気なんて



全くない。
去年だってそうだったし。

翔「劇、姫の役だよ、かのん。
王子は俺。
ちなみに舞台はシンデレラ。ね?」

……何、仕組んだのね。
うそでしょ……。

『でない。』

こっちは貴方達人間ごときを守ろうと必死なんだよね。
そんなの覚えられるわけない。

……それに、意味無いでしょ。
半年後に来るんだから。

翔「去年も出てなかったんだよね?今年は出ないと、大学行けないよ?」

だから?
別に私は、

『大学に行くつもりなんてない。』

そういうと、ガックリと肩を落とした。

翔「……かのんのシンデレラ姿、見たかったのに……。」

今すぐにでも「クゥーン」と泣きそうな犬のようにしょぼくれる。

『へぇ、そーやって女の子落としてるの?』

そんな捨てられた子犬みたいな顔して、なんでも許してもらってるの?

翔「え……。」

は?とでも言いたげな顔をして、驚いている。


……らしくない。

『いや、別になんでもない。』

翔「弱音見せるの、かのんだけだよ。」
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