満月の存在。
『人々を守る、優しき満月の存在です。』

自ら"優しい,"という言葉を使ったのは、敵ではないことを知らせるため。


人間は満月の存在を知らない。
影に生きる存在だから。

?「……満月の存在。






月の悪魔か。」


ニヤリと、口元が笑った気がした。

金髪の髪に人間離れした西洋の顔立ちに、真っ黒な目。
黒いフード付きトレーナーに短パン。

……動きやすさを重視している。

次の瞬間、私の目の前に、少年の顔が写った。

?「死ね。」

戸惑いもなく発せられたその言葉。


死ぬわけない。

日本刀を向けられ斬られる寸前に、


『甘い。』

腹部を回し蹴りをして地面につけさせた。

人間にしてはなかなかなんじゃないの。

?「クスッ……」


ゆらゆらと立ち上がった少年は、小さく笑い、私を見た。

?「殺せ。殺してくれ。なぁ……。殺してくれ……っ」

殺せ、殺せと何度も急に私にせがんできた少年は、一筋の涙を流して悲しいほど美しい笑顔で笑っていた。
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