満月の存在。

『お前のせいで……お前のせいでっ!私は変わってしまった!!!!

誰にも開かなかったはずの心が、お前のせいで開かれそうになる……っ
固く閉ざしたはずなのに、不意に漏れてしまいそうになる……っ!!


もうこれ以上私を苦しめないで…っ、もう誰も……失いたくないから……っ!翔だけは失いたくないからッ!!


殺したくないっ
殺されたくないっ
死んで欲しくないからっ!!


だから突き放したのにっもうお願いだから私に関わらないで……!!!』


私は躊躇なく、2階の窓から飛び降りた。

翔「かのん!!!!!」


すぐに消えた私は、真っ先にピエロの元へ向かった。


ピエロ「……なんだい?目を潤わせて。」



『ピエロ……、私は、私は…、自覚が足りませんでした……、うつつを抜かし、囚われた仲間を危険に晒してしまうような真似を……っ。』

ピエロに、こんな顔を見せるのは初めてだった。
絶対に弱みを見せないのが、私だったはずなのに。

いつから狂ったんだろう。
どうしてこんなにも、胸が苦しいんだろう。


ピエロ「……かのん…。
大丈夫、大丈夫。辛かったね。
かのんはよくやってるよ。

今日はここに泊まりなさい。
かのん、大丈夫。いつでも我がお前のそばにいる。」

『……っありがとう……ございます…っ』


……もう…、早く寝よう。


来た時には必ず眠る客室に入ると、私は開放されたように眠りについた。
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