満月の存在。
小さな頃、1度だけ迷い込んだ場所で、私とそう年齢の変わらない子供たちが、牢屋に入れられ泣き喚いていた場所を。

……どうして。
……何を。
信じたくない。
違う。
違う。


"違わない。
貴方が信じられるのは、自分の仲間と、貴方が愛する人のみ。
感情を見失ってはいけない。
感情を吸い取られてはならない。"

……感情を、吸い取る?


目の前のもう一人の私は、真剣な顔で、呟いた。


"忘れないで。
あなたの味方は、仲間と愛する人のみ。それ以外は、みんな敵。
貴方はもう、感情を失ってしまった。
必ず感情は取り戻して。無くしちゃならない。

あぁ……時間だ、かのん、これだけは覚えておいて。貴方の周りには、敵ばかりよ。"


『ちょっとま……っ』
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