麻木さんは夕暮くんに勝てないらしい
君は俺の彼女役。
「結々、起きてー。教室入った瞬間寝出すとかあり得ないから…」
誰かに身体を揺すられている。
それと同時に聞き覚えのある声がする。
うっすら目を開けると少女のシルエットが見える。
中性的な声が頭に響いて心地いい。
私は開けかけた瞼をまた閉じて考える。
お姫様は綺麗なドレスを着て、お城で王子様を待ち続けてる。
やがて王子様が迎えに来てくれるのだ。
とっても素敵…
「もう…起きなさい!」
「あたっ!……うぅ暴力反対」
一気に現実に戻された。
おでこにチョップをかましたお姫様…もとい、凜咲は私の前の席に座り私の机に肘をついて、綺麗な笑みを浮かべている。
「結々が起きないからでしょ。全く、学校来てそうそうに寝始めるからびっくりした……最初の呼び掛けで起きたと思ったらまた目閉じちゃうし」
また妄想してたんでしょ?
そう言って凜咲は首をかしげる。
そんな小さな動作も可愛らしい。
肩までに切り揃えられた黒髪のボブ。
おばあちゃんがアイルランド人だから少し緑がかった切れ長の目に、平均より高めの身長。
私と夜々の幼馴染みだ。
かっこいい、と言われることの多い凜咲だけれど、可愛い一面がたくさんあることを私は知ってる。
「えへへ…妄想してました~。ところでさ、やっぱり凜咲はすんごく可愛いね!」
「はいはい。全く、結々は…誉めてもなにもでないわよ。ってもしかして今回の妄想の被害者私…?」
「大正解~!」
「もう…」
凜咲は恥ずかしいのか顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。
本当のこと言っただけなのになぁ…
私のおでこにチョップをしたのは私の親友兼幼馴染みの涼風凜咲。
美人で、勉強も運動もそつなくこなす凄い子。
飽きもせずに私の話に耳を傾けてくれる、私の自慢の親友なのです。
夜々はクラスが別だから、夜々が家、凜咲が教室ではお母さんみたいになってる。
私ってそんな危なっかしいのかな…?
ちなみに本当の両親は今海外出張でパリにいます。
お母さんは自由奔放の化身みたいな人だよ。
「そういえば今日、転校生来るみたい」
突然凜咲がそう言った。
耳を済ませばクラスのみんな転校生の話題で盛り上がっている。
全然気づかなかった。
「そうなの?イケメン?」
そう言ったとき、ちらりと脳裏に今朝の女子の大群が思い浮かぶ。
もしかしてあの群れの中心にいた人じゃあ…?
さすがにそんなことないか。
「…相変わらずね。知らないよ、まず性別も知らない。噂で聞いたってだけだから」
「ふうん…そうなんだ~…でも楽しみだね、転校生!」
「だね。あ、そろそろ私席戻るね。チャイムなっちゃう」
「わかった~」
そう言って凜咲は席に戻っていく。
凜咲を見送り、私はその頃には今朝の事などすっかり忘れて懲りずに凜咲を主人公に妄想を続けていた。
誰かに身体を揺すられている。
それと同時に聞き覚えのある声がする。
うっすら目を開けると少女のシルエットが見える。
中性的な声が頭に響いて心地いい。
私は開けかけた瞼をまた閉じて考える。
お姫様は綺麗なドレスを着て、お城で王子様を待ち続けてる。
やがて王子様が迎えに来てくれるのだ。
とっても素敵…
「もう…起きなさい!」
「あたっ!……うぅ暴力反対」
一気に現実に戻された。
おでこにチョップをかましたお姫様…もとい、凜咲は私の前の席に座り私の机に肘をついて、綺麗な笑みを浮かべている。
「結々が起きないからでしょ。全く、学校来てそうそうに寝始めるからびっくりした……最初の呼び掛けで起きたと思ったらまた目閉じちゃうし」
また妄想してたんでしょ?
そう言って凜咲は首をかしげる。
そんな小さな動作も可愛らしい。
肩までに切り揃えられた黒髪のボブ。
おばあちゃんがアイルランド人だから少し緑がかった切れ長の目に、平均より高めの身長。
私と夜々の幼馴染みだ。
かっこいい、と言われることの多い凜咲だけれど、可愛い一面がたくさんあることを私は知ってる。
「えへへ…妄想してました~。ところでさ、やっぱり凜咲はすんごく可愛いね!」
「はいはい。全く、結々は…誉めてもなにもでないわよ。ってもしかして今回の妄想の被害者私…?」
「大正解~!」
「もう…」
凜咲は恥ずかしいのか顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。
本当のこと言っただけなのになぁ…
私のおでこにチョップをしたのは私の親友兼幼馴染みの涼風凜咲。
美人で、勉強も運動もそつなくこなす凄い子。
飽きもせずに私の話に耳を傾けてくれる、私の自慢の親友なのです。
夜々はクラスが別だから、夜々が家、凜咲が教室ではお母さんみたいになってる。
私ってそんな危なっかしいのかな…?
ちなみに本当の両親は今海外出張でパリにいます。
お母さんは自由奔放の化身みたいな人だよ。
「そういえば今日、転校生来るみたい」
突然凜咲がそう言った。
耳を済ませばクラスのみんな転校生の話題で盛り上がっている。
全然気づかなかった。
「そうなの?イケメン?」
そう言ったとき、ちらりと脳裏に今朝の女子の大群が思い浮かぶ。
もしかしてあの群れの中心にいた人じゃあ…?
さすがにそんなことないか。
「…相変わらずね。知らないよ、まず性別も知らない。噂で聞いたってだけだから」
「ふうん…そうなんだ~…でも楽しみだね、転校生!」
「だね。あ、そろそろ私席戻るね。チャイムなっちゃう」
「わかった~」
そう言って凜咲は席に戻っていく。
凜咲を見送り、私はその頃には今朝の事などすっかり忘れて懲りずに凜咲を主人公に妄想を続けていた。