Dear Hero
技を解いて俺がゴロンと転がると、最後にペチンと額を叩く。
「な?俺の方が先越しそうだろ?」とニカッと笑って元の場所に戻っていった。
俺はその場で寝転がったまま天井をじっと見つめる。
哲ちゃんが紺野の事好きだなんて全然知らなかった。
俺、哲ちゃんの前で何度も紺野の話したし、相談したり惚気たりしたよ。
それなのに、哲ちゃんは何も言わずに話を聞いてくれてた。
俺が紺野の事好きなの知ってたから、言えなかったんだ。
病室で呟いたあの言葉は、どんな気持ちで言ったんだろう。
俺、哲ちゃんの事何も知らなかったんだな—————
ガチャっとドアが開いて紺野が戻ってくると、「あ、ごめん。こんなところに濡れ雑巾が」と言って俺の足を踏む。
「誰が濡れ雑巾じゃ!わざとだろ!」
「顔が。なに泣いてるの?」
カラカラと笑いながら、持ってきたケーキをテーブルに置いた。
指摘されて、初めて涙が溢れていた事に気づき、ゴシゴシと拭って俺もテーブルに戻る。
「一応……手作りデス。依ちゃんの料理の後じゃ見劣りするけど…」
「そんな事ねぇよ!超美味そう!」
待ちきれないとばかりに哲ちゃんがフォークをカンカンと鳴らす。
哲ちゃんの好きなチョコクリームでデコレーションされたケーキは、なんだか甘くてほろ苦い味がした。
外もすっかり暗くなり、そろそろ哲ちゃんの家族も帰ってくるというので、テーブルを片付けて解散となった。
紺野を送っていくと言うので、全員で外に出ると紺野がもう一度俺の腕を引っ張り小声で教えてくれた。
「依ちゃんの誕生日、1月だって」
「おお、いい情報。あざす。つーかなんでもう名前呼びなんだよ…」
「仲良くなったんだもん。羨ましいならダイくんも呼べば?」
「ちょっと…それはまだ無理かな…」
「あははっダイくんかわいい」
「な?俺の方が先越しそうだろ?」とニカッと笑って元の場所に戻っていった。
俺はその場で寝転がったまま天井をじっと見つめる。
哲ちゃんが紺野の事好きだなんて全然知らなかった。
俺、哲ちゃんの前で何度も紺野の話したし、相談したり惚気たりしたよ。
それなのに、哲ちゃんは何も言わずに話を聞いてくれてた。
俺が紺野の事好きなの知ってたから、言えなかったんだ。
病室で呟いたあの言葉は、どんな気持ちで言ったんだろう。
俺、哲ちゃんの事何も知らなかったんだな—————
ガチャっとドアが開いて紺野が戻ってくると、「あ、ごめん。こんなところに濡れ雑巾が」と言って俺の足を踏む。
「誰が濡れ雑巾じゃ!わざとだろ!」
「顔が。なに泣いてるの?」
カラカラと笑いながら、持ってきたケーキをテーブルに置いた。
指摘されて、初めて涙が溢れていた事に気づき、ゴシゴシと拭って俺もテーブルに戻る。
「一応……手作りデス。依ちゃんの料理の後じゃ見劣りするけど…」
「そんな事ねぇよ!超美味そう!」
待ちきれないとばかりに哲ちゃんがフォークをカンカンと鳴らす。
哲ちゃんの好きなチョコクリームでデコレーションされたケーキは、なんだか甘くてほろ苦い味がした。
外もすっかり暗くなり、そろそろ哲ちゃんの家族も帰ってくるというので、テーブルを片付けて解散となった。
紺野を送っていくと言うので、全員で外に出ると紺野がもう一度俺の腕を引っ張り小声で教えてくれた。
「依ちゃんの誕生日、1月だって」
「おお、いい情報。あざす。つーかなんでもう名前呼びなんだよ…」
「仲良くなったんだもん。羨ましいならダイくんも呼べば?」
「ちょっと…それはまだ無理かな…」
「あははっダイくんかわいい」