Dear Hero
紺野からのおいしい情報と、哲ちゃんからの激励。
それを踏まえて、1月の水嶋の誕生日を目標に、バイトを増やして資金調達をしているのである。

平日も休日も家にいる時間は少なくなったけど、家に帰れば「おかえりなさい」と水嶋が出迎えてくれる。
そんな姿を見るだけで、疲れも吹っ飛んだ。


とはいえ、引越し屋のバイトを始めたばかりの頃は、慣れない仕事と体力の消耗が激しくて家に帰るとソファに倒れ込んでそのまま寝入ってしまう事も多かった。
毛布を掛けてもらったような、そんな気配がしてうっすら目を開けると水嶋が優しく髪を撫でてくれていて、寝ぼけて抱き寄せたら姉ちゃんにスリッパでスパァァァンと叩かれた事もあったな。
すごい音だった。
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