Dear Hero
テレビ画面にカウントダウンのテロップが流れ始める。
隣にある水嶋の手を握ると、ぎゅっと握り返してくれた。
絡み合う指一本一本が、熱を持っているようだった。
「3・2・1…」
左上の時計表示が0:00となるのと同時に“HAPPY NEW YEAR”のテロップが流れ、ライブ会場には紙吹雪が舞い、おめでたい雰囲気に包まれる。
「あけましておめでとう。これからもよろしくな」
「あけましておめでとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします」
今までで一番、幸せな年明けだった。
ライブ中継も終盤に差し掛かる頃、隣の水嶋はうとうとしていた。
いつも日を跨ぐ前に寝ているんだ。
こんな時間まで起きてりゃ眠くもなるだろう。
「水嶋、寝るぞ。立てるか?」
頬をぺちぺち叩くと、うっすらと目を開けて小さく頷く。
「…夜更かししてしまいました」
「正月だもん。これくらいは許されるだろ」
家中の戸締りを確認して、2階の姉ちゃんたちの部屋まで見送る。
「じゃあな、また明日。おやすみ」
「……」
ぼーっとした顔で、黙って俺のTシャツの裾をきゅっと握る。
「……水嶋?」
「………あっ。ごめんなさい」
慌てて手を離すと、不安そうな顔をしたまま「おやすみなさい」とドアを閉めた。
隣にある水嶋の手を握ると、ぎゅっと握り返してくれた。
絡み合う指一本一本が、熱を持っているようだった。
「3・2・1…」
左上の時計表示が0:00となるのと同時に“HAPPY NEW YEAR”のテロップが流れ、ライブ会場には紙吹雪が舞い、おめでたい雰囲気に包まれる。
「あけましておめでとう。これからもよろしくな」
「あけましておめでとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします」
今までで一番、幸せな年明けだった。
ライブ中継も終盤に差し掛かる頃、隣の水嶋はうとうとしていた。
いつも日を跨ぐ前に寝ているんだ。
こんな時間まで起きてりゃ眠くもなるだろう。
「水嶋、寝るぞ。立てるか?」
頬をぺちぺち叩くと、うっすらと目を開けて小さく頷く。
「…夜更かししてしまいました」
「正月だもん。これくらいは許されるだろ」
家中の戸締りを確認して、2階の姉ちゃんたちの部屋まで見送る。
「じゃあな、また明日。おやすみ」
「……」
ぼーっとした顔で、黙って俺のTシャツの裾をきゅっと握る。
「……水嶋?」
「………あっ。ごめんなさい」
慌てて手を離すと、不安そうな顔をしたまま「おやすみなさい」とドアを閉めた。