Dear Hero
***


衣擦れの音が聞こえてそっと目を開く。
眠れないと思っていたけど、どうやらうとうとしていたみたいだ。
ぼやっとする意識の中で視界に入ってきたのは、愛おしそうな顔で見つめる水嶋だった。


……どうして水嶋がここに?
あぁ、そっか。これは夢か。
ほら、いつもよりベッドがほかほかと暖かい。


目覚めたら腕の中に水嶋がいるなんて最高かよ。
目を閉じて腰を引き寄せると、柔らかい感触が全身を包む。



夢の中でなら、我慢しなくていいよな。



引き寄せた水嶋の首元に顔をうずめる。
細くて華奢な首筋。温かくて水嶋の匂いがする。
時折、鼻から漏れる甘い声や反応する身体が、リアルだなと思った。


我慢できなくて、パジャマの下から手を入れる。
細いのに柔らかな腰が、俺が触れる度に大きく跳ねる。


どんどん上を目指す俺の手は、何かに当たって止まる。
指先でそっと触れると、むにっとした感触が心地よい。
もっと欲しくて、手全体で包み込むように柔らかさを楽しむと「……あっ」と漏れる甘い声が何度も聞こえてくる。

「待って」というその声がどんどん俺を高めさせて止まらない。
もっと直に触れたくて、パジャマのボタンを外していく。
夢なのに、こんな感触もリアルなんだなと思った。

もう一度首筋に唇を落とし、鎖骨、胸元と順に降りていく。
その度に小さく跳ねる身体は、ピンと張った柔らかい素肌に口付けた瞬間、より大きく震えると「やっ……待って、澤北くん」という声と共に腕を掴まれた。
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