Dear Hero
「ほら野郎ども、行くよー?」


紺野の呼びかけで三人の元に向かった。


「……?」

隣に立って差し出した手に、水嶋は疑問の顔を浮かべる。

「……はぐれたいの?」


素直に言えない俺も俺だな。
はっと気づいて急いで俺の手を取る。

繋いだ手をアウターのポケットに突っ込むと、「温かい」と嬉しそうに微笑んだ。



参拝の行列に並ぶも、人の多さに三組ともバラバラになってしまい、参拝が終わったところで再び待ち合わせた。
隣で手を合わせる水嶋は、ずいぶん長い時間目を閉じていた。


「なぁ何お願いした?」
「言うわけないじゃない。言ったら叶わなくなるもん」
「え、そうなの?」
「哲平、ちゃんと神様にお礼言った?」
「え、言ってないよ?飛鳥とずっと仲良くできますようにって」
「ぶはっ。哲ちゃんそれ言ったらダメじゃん」
「ちょっと!ダイくんそうゆう事言わないでよ!」
「ちょ…なんで俺が怒られるんだよ…」
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