Dear Hero
「………」


しばらくネックレスを大事そうに触れていた依は、急に黙り込む。

「どうした?」
「………」


布団の上に座り直して正座すると、何かを言いかけては飲み込み、また少し考えて口を開いたところで赤面して両手で顔を覆い、振り払うように頭を振りこっちを見てまた何かを言いかけて…というパターンを何回か繰り返す依。
いつもの事とはいえ、こんなに続くと頭ん中ショートしてるんじゃないかと、さすがに心配になってくる。


「……依?」

布団に手をついて顔を見上げると、勢いよく俺の首に抱きついてきた。


「わ…ちょっ、あぶな…」


あまりの勢いに、俺はバランスを崩してそのまま後ろに倒れ込んだ。
下が布団で助かった。
衝撃で瞑った目を開くと、俺の目の前には依の顔があってぎょっとする。


ついに…押し倒された……。
いや、この体位も嫌いじゃないんだけど……なんてアホな考えがよぎって慌てて振り払う。

そうだ、それよりケガは…?


「おま…手、大丈夫か?ケガは…」
「大護くんが好きです」

かぶせるように放たれた言葉の意味が、一瞬わからなかった。



「……え?」

「……大護くんの事が…大好きです……」
「………」
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