Dear Hero
***
期末テストにも依は来なかった。
担任に確認したら、テストは受けなかったものの以前の成績が問題ないから補講を受ければ留年にはならないと教えてくれた。
ただ、出席日数はこのまま修了式まで欠席が続くようだと危ないとの事。
事情が事情だから掛け合ってはみるけど、とは言ってくれた。
俺は俺で、テストの直前にあんな大きな爆弾を投下されたにもかかわらず、割とうまくいったんじゃないかと思ってる。
依が戻ってきた時に、かっこ悪いところ見せたくなかったから。
「…大護は、今日は学校終わってからお見送り?」
朝、いつも通りに学校へ行く準備をして歯を磨いていると、母さんがさらっと聞いた。
期末テストも終わって、今日からはテスト返却日。
修了式まで残り数日。
授業はもうないけど、午前中だけ学校のある日だ。
「え、学校行くだけだけど…なんで?」
「だって今日は…出発される日なんじゃないの?」
「………は?」
なんだそれ、聞いてない。
今日なんて聞いてない。
「それ……誰から聞いたの?」
「依ちゃんのお父様から。ご親切に昨日挨拶いただいたわよ」
「なんでそれ黙ってたの!?」
「なんでって…大護の方が良くお会いしてたじゃない。聞いてるかと思ったのよ」
「………っ」
慌てて口の中の歯磨き粉を吐き出すと、リュックを掴んで家を飛び出す。
「大護、もう行くの?」なんて母さんが呼んでいたけど、気にしちゃいられない。
そういや、寝ぐせ直ってなかったんだったって気づいたけど、自転車を全速力でこいでたらどうでも良くなった。
期末テストにも依は来なかった。
担任に確認したら、テストは受けなかったものの以前の成績が問題ないから補講を受ければ留年にはならないと教えてくれた。
ただ、出席日数はこのまま修了式まで欠席が続くようだと危ないとの事。
事情が事情だから掛け合ってはみるけど、とは言ってくれた。
俺は俺で、テストの直前にあんな大きな爆弾を投下されたにもかかわらず、割とうまくいったんじゃないかと思ってる。
依が戻ってきた時に、かっこ悪いところ見せたくなかったから。
「…大護は、今日は学校終わってからお見送り?」
朝、いつも通りに学校へ行く準備をして歯を磨いていると、母さんがさらっと聞いた。
期末テストも終わって、今日からはテスト返却日。
修了式まで残り数日。
授業はもうないけど、午前中だけ学校のある日だ。
「え、学校行くだけだけど…なんで?」
「だって今日は…出発される日なんじゃないの?」
「………は?」
なんだそれ、聞いてない。
今日なんて聞いてない。
「それ……誰から聞いたの?」
「依ちゃんのお父様から。ご親切に昨日挨拶いただいたわよ」
「なんでそれ黙ってたの!?」
「なんでって…大護の方が良くお会いしてたじゃない。聞いてるかと思ったのよ」
「………っ」
慌てて口の中の歯磨き粉を吐き出すと、リュックを掴んで家を飛び出す。
「大護、もう行くの?」なんて母さんが呼んでいたけど、気にしちゃいられない。
そういや、寝ぐせ直ってなかったんだったって気づいたけど、自転車を全速力でこいでたらどうでも良くなった。