Dear Hero
病室の大護と面会できたのは、クリスマスイブの日だった。
クリスマスプレゼントに代理で預かった通知表を渡したら、思いっきり嫌な顔をされた。

「思ったより元気そうじゃん」
「元気もんかよ。足も手も身体も動かせねぇし」


左手と右足はギプスで固定されているし、顔には大きなガーゼ。
「肋骨もヒビいってるってさ」とベッドに寝そべったまま不満そうに呟いた。

「あの高校生たち、逮捕されたってね」
「くっそあいつら本気でやりやがって……5対1とか卑怯じゃね?」
「でも戦隊ものも5対1で敵倒すよな」
「俺が敵かよ……」

思わず噴き出すと、つられて笑いそうになった大護がうめき声を上げる。
笑うとめちゃくちゃ痛いらしい。
「俺を笑わさないでくれ」と能面みたいな顔で言うのが余計面白かった。


「顔めちゃくちゃ殴られてさぁ、せっかくのイケメンが台無しだろ」
「大護はフツメンだよ」
「…………。こんなに顔がキズものになったら俺お嫁いけなくなっちゃうし」
「そしたら俺がもらってやろうか」
「ごめん哲ちゃん、俺にはそんな趣味は……」
「おい…っ!」

ぶはっと吐き出すと同時に涙目になってプルプルする大護。
これはマジで笑わせちゃいけないかもしんない。
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