Dear Hero
「……もう二度と、紺野に気持ち伝えないつもり…?」
「………」
「俺、大護の事は本当にすげぇって思ってた。自慢の友だちだったから、だからお前と紺野がうまくいってくれたらってずっと応援してた」
「………」
「なのに……なに弱気な事言ってんだよ……」
「……っ」
「大護はかっこ悪くなんかない!めちゃくちゃカッコイイよ!」
「……」
「お前がやった事、誰でもできる事じゃないんだからな…!」


俺を見つめる大護の瞳が揺れている。
胸倉を引っ張り上げられて、小さく開いていた口がぎゅっと結ばれる。

シャツを掴んでいた手を放すと、ベッド脇の丸椅子に力なく座る。
顔は、見られなかった。


「身を挺して好きな子護るなんて、大護カッコイイよ……」



俺が、大護には勝てないと自覚した瞬間だった。



「今日は、帰るな」
「……うん」
「また、来るからな」
「……うん」
「大護」
「……ん?」
「高校生になったら、紺野誰かにとられるかもしんないんだからな」
「哲ちゃん」
「……」
「ありがとな」





俺の片想いは
まだまだ終われない。




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