Dear Hero

向日葵と片想いの芽

男子高校生になりました。



制服がブレザーになって、毎朝ネクタイを締めるのに手間取っているのが悩みの種。

高校に上がる前に、髪を切って色を染めた。
女の子と話すのにどもるような性格とはオサラバしたくて、入学早々、男女構わず声をかけるようにした。
もともと末っ子気質が身に沁み込んでいたから、コミュニケーション能力はばっちり。
スタートダッシュは成功。
女の子とも問題なく話せるようになっていた。


紺野の時は、最初から気にしてたからダメだったんだ。
うん、そうだ。


控え目にしていた性格を開放したら、友だちたくさんできた。
新しく世界が広がった感じがした。



「……すいませんね、つるんでるのが俺で」


1年C組の教室。
授業が終わり、仲良くなったクラスメイト達が俺に声をかけて帰っていく中、大護が拗ねたように呟く。

「そだな。俺がいないと、大護またぼっちになるとこだったもんな」

ニシシッと笑うと、口を尖らせて睨んできた。



大護とは、また同じクラスだった。また、だ。
入学式の時にD組に紺野の名前があるのは見つけたけど、大護には伝えていない。
様子を見るに、紺野が同じ学校にいる事すら気づいてないみたいだった。


「哲ちゃんいなくても孝介いるし」
「哲平がいたからつるむようになったんだけどな」

今度は涙目で孝介を睨んだ。


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