Dear Hero
高校2年生になった。

大護や孝介と、毎日バカやって、くだらない事で笑いあって。
毎日がただ楽しく過ぎている。


あの冬の日から、紺野とは連絡を取っていない。
元々抑え込んでいた気持ちだ。
頭の中から消し去るのは、容易い事だった。


後ろめたさもなくなり、女の子と話するのも野郎どもとエロ話するのも、思う存分楽しんだ。
自分の事だけ考えるって、楽だなって思った。



「哲平、何かあった?」

俺の初恋が散ったすぐ後、大護がいない間に孝介がこそっと声をかけてくれた。


「あー……なんつーか、紺野好きなの、やめた」
「………」
「なんか、俺がもういっぱいいっぱいになっちまったからな」
「哲平がそれでいいなら、何も言わないけど」
「うん……なんか、思ったより落ち着いてる」
「哲平、格好良かったよ」
「………」
「人の為にあれだけ真剣になれる事って、そう簡単じゃないと思う」
「………」
「俺には真似できないから、尊敬してる」
「まじで……?」
「………そこだけね」
「そこだけかよっ!」



誰にも言えない気持ちを分かってくれる人がいる。
それがこんなに力強いなんて、知らなかった。




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