Dear Hero
大護が教室を出て行ってから、30分遅れて俺の休憩時間になった。
……さて。どこに行こうか。
下手に歩き回って、楽しそうな二人を見るのは嫌だけど。
A組の女子が甘味やるから来てとか言ってたな。
腹減ったからもっとガツンとしたもの食いたいな。
どこかのクラスのモザイクアートの展示がすごいって聞いたな。
軽音部のヤツがステージ出るつってたな。
……なんか、どれも。
二人がその場にいる姿を想像してしまって足を踏み出せなかった。
「哲平」
首にかけたタオルをプラプラさせていてると名前を呼ばれる。
振り向くと、腕に“風紀委員”の腕章をつけた孝介。
「ビビった、怒られるかと思った。……見回り中?」
「うん、これから教室戻るけど。哲平は休憩?」
「おお。……なんか、どこも見る気にならねぇけどな」
「……大護と紺野さんが一緒にいるから?」
「…っ!」
「知ってた?」
「うん、見てた。…っつーか、そうなるように仕向けたかも」
「……その割には心配そうな顔してるけど」
「………」
孝介先生には、全部お見通しだなぁ。
“心配そう”と言われた顔を両手で伸ばしてほぐしてみる。
「3年生の校舎を歩いてるのは見たよ」
「……そっか」
「哲平は……」
「……?」
「いつも通り、哲平らしくいればいいと思う」
「……へへっ。孝介、ありがとな」
俺にとっての孝介が、心強い存在であるみたいに。
紺野にとっての俺も、そうであってくれたらいいのにな。
……さて。どこに行こうか。
下手に歩き回って、楽しそうな二人を見るのは嫌だけど。
A組の女子が甘味やるから来てとか言ってたな。
腹減ったからもっとガツンとしたもの食いたいな。
どこかのクラスのモザイクアートの展示がすごいって聞いたな。
軽音部のヤツがステージ出るつってたな。
……なんか、どれも。
二人がその場にいる姿を想像してしまって足を踏み出せなかった。
「哲平」
首にかけたタオルをプラプラさせていてると名前を呼ばれる。
振り向くと、腕に“風紀委員”の腕章をつけた孝介。
「ビビった、怒られるかと思った。……見回り中?」
「うん、これから教室戻るけど。哲平は休憩?」
「おお。……なんか、どこも見る気にならねぇけどな」
「……大護と紺野さんが一緒にいるから?」
「…っ!」
「知ってた?」
「うん、見てた。…っつーか、そうなるように仕向けたかも」
「……その割には心配そうな顔してるけど」
「………」
孝介先生には、全部お見通しだなぁ。
“心配そう”と言われた顔を両手で伸ばしてほぐしてみる。
「3年生の校舎を歩いてるのは見たよ」
「……そっか」
「哲平は……」
「……?」
「いつも通り、哲平らしくいればいいと思う」
「……へへっ。孝介、ありがとな」
俺にとっての孝介が、心強い存在であるみたいに。
紺野にとっての俺も、そうであってくれたらいいのにな。