Dear Hero

向日葵と片想いの花

「………なんで避けんの?」


C組の教室前。
教室から出てきた紺野に声をかけると、ギシッと一瞬固まり、ロボットのようにギギギと音を立てながら俺を見上げた。

「お久しぶり……です」
「ね。ずっと避けてたもんな」
「………」



俺の告白から1週間。
文化祭の次の週は、徹底的に避けられていた。

うっかり廊下で鉢合おうものなら友だちと話して気づかない振りするし、校門で会った時にはわざとらしく携帯で話しながら素通りしていくし、駐輪場ではあろう事かUターンして逃げていかれた。


あまりにもあからさまな態度に腹が立って、ついに教室前で待ち伏せしてみたのである。



「ちょっとひどくね?自分の用事が済んだら、もう俺は見たくもないってか」
「そうじゃ…ないけど……」
「呼び出したり待ち伏せしたり、さんざん俺の事は振り回しておいて、自分の都合が悪くなったら無視すんだ」
「それは……えっと…」
「気まずくならないって言ったのに」
「………」
「こうなりたくなかったから、ちゃんと言いたかったのに」
「………」
「……それとも、これが答え?」
「違……っ!」
「じゃあ、一緒に帰ろ」


観念したように頷くと、居心地悪そうに俺の隣に並んだ。




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