Dear Hero
「…俺がアホでした…」
息を切らす二人が駆け込んだのは、水嶋のマンションのエントランス。
水嶋の家の近くの本屋が大きいという事で、くそ暑い中をなんとかたどり着き、何冊もあるおしゃれカフェ雑誌を二人でこそこそしながら選んで購入、外に出てみれば土砂降りの雨だった。
数十分の間に急激に変化する天候。
夏特有の夕立だ。
天気予報では何も言ってなかったし、朝は天気が良かったものだから、傘なんて持ってない。
止むまで待ってみようとフロアをうろうろしてみたり、昨日出たばかりの週刊漫画雑誌を立ち読みしてみたり、雑誌の表紙のグラビアアイドルをちらちら見ていたら水嶋に白い目で見られたり。
しばらく時間を潰してみるものの、雨が止む気配はなく。
そのうち、ガンガンに効いた店内の冷房にぶるりと水嶋の体が震える。
「ここから水嶋の家ってどれくらい?」
「え?えっと…歩いて10分くらいですね」
「…走れる?」
うなずく水嶋と共に飛び出した本屋。
走れば問題ないという俺の考えがとてつもなく浅はかである事を痛感する。
徒歩10分の距離は走るには意外と長く、ヒールのあるサンダルを履いた水嶋の脚は何度ももつれて転びそうになり、激しい雨が容赦なく打ちつけて。
なんとかマンションにたどり着いた時には二人もずぶ濡れだった。
「すいません…俺がアホでした…」
キャップをかぶっていたとはいえ、髪も服も鞄も水を滴らせる水嶋に息も絶え絶えに謝ると、楽しそうに笑う彼女。
「初めて雨でこんなに濡れました。ずぶ濡れになるってなんだか楽しいですね」
「…うそつけ。走って暑いし、服も髪も張りつくし気持ち悪いじゃん」
「お店の中が寒かったので、走って暖かくなってちょうどいいです」
「暖かいレベルじゃねーよ…汗だくだよ…」
「だけど、全速力で走ったのも本当に久しぶり」
「俺はしにそう…」
息を切らす二人が駆け込んだのは、水嶋のマンションのエントランス。
水嶋の家の近くの本屋が大きいという事で、くそ暑い中をなんとかたどり着き、何冊もあるおしゃれカフェ雑誌を二人でこそこそしながら選んで購入、外に出てみれば土砂降りの雨だった。
数十分の間に急激に変化する天候。
夏特有の夕立だ。
天気予報では何も言ってなかったし、朝は天気が良かったものだから、傘なんて持ってない。
止むまで待ってみようとフロアをうろうろしてみたり、昨日出たばかりの週刊漫画雑誌を立ち読みしてみたり、雑誌の表紙のグラビアアイドルをちらちら見ていたら水嶋に白い目で見られたり。
しばらく時間を潰してみるものの、雨が止む気配はなく。
そのうち、ガンガンに効いた店内の冷房にぶるりと水嶋の体が震える。
「ここから水嶋の家ってどれくらい?」
「え?えっと…歩いて10分くらいですね」
「…走れる?」
うなずく水嶋と共に飛び出した本屋。
走れば問題ないという俺の考えがとてつもなく浅はかである事を痛感する。
徒歩10分の距離は走るには意外と長く、ヒールのあるサンダルを履いた水嶋の脚は何度ももつれて転びそうになり、激しい雨が容赦なく打ちつけて。
なんとかマンションにたどり着いた時には二人もずぶ濡れだった。
「すいません…俺がアホでした…」
キャップをかぶっていたとはいえ、髪も服も鞄も水を滴らせる水嶋に息も絶え絶えに謝ると、楽しそうに笑う彼女。
「初めて雨でこんなに濡れました。ずぶ濡れになるってなんだか楽しいですね」
「…うそつけ。走って暑いし、服も髪も張りつくし気持ち悪いじゃん」
「お店の中が寒かったので、走って暖かくなってちょうどいいです」
「暖かいレベルじゃねーよ…汗だくだよ…」
「だけど、全速力で走ったのも本当に久しぶり」
「俺はしにそう…」