Dear Hero
「…改めて。依の叔父の中野樹です」
「さ、澤北大護と言います。水嶋…さんと同じクラスで…」
「キミが……」
軽く自己紹介をした所で、男性の雰囲気ががらりと変わった。
それまで、殺気すら感じる程に鋭いナイフのようなものだったのが、ふわりとやわらかいものに。
水嶋が醸し出す雰囲気と、とてもよく似ている。
「依を怪我から護ってくれてありがとう」
「いや、俺は何も…」
「あと、手荒な真似をして申し訳ない。職業柄、どうしても不審人物には敏感になってしまってね」
「い、いえ……」
頭をかきながら、申し訳なさそうに笑う樹さん。
下心がまったくなかったとは言えないだけに、罪悪感というトゲがちくちく刺さってくるようだ。
水嶋が事情を説明する中で、キスされかけた、なんて言われたらどうしようとヒヤヒヤしていたものの、そこは特に触れられなかったので本当によかった。
あと、未遂でよかった…。
もし、あのままキスしてる時に鉢合わせていたら、俺、本気でこの人に殺されてたと思う…。
「それより!樹くんどうして今日は突然?今日は来る予定じゃなかったのに…」
「早めに仕事片付いたんだよ。それと、前来た時にちょっと忘れ物してたしな。それとも何?今日は俺来ちゃいけなかった?」
「そ…!そんな事…ない…けど……」
敬語じゃない水嶋はなんだか新鮮だ。
ニヤリと笑う樹さんに詰め寄られ、ソファで俺の隣に座っている水嶋は、言葉を濁す。
助けを求めるようにこちらに視線を送るので、同じく視線を返すと急にびっくりしたように顔を背けてしまった。
「わ、私…!お茶でも淹れてくる…!」
勢いよく立ち上がりキッチンにかけ込む水嶋。
その後ろ姿、耳まで真っ赤なのが見えていて……
何その反応…
可愛すぎだろ……
だらしなく開きかけた口を慌てて引き締める。
しかし、俺の前に座るこの水嶋の叔父という男性。
ぱっと見20代後半くらいでかなり若く見えるけれど……。
「…もしかして、本当に叔父なのか、とか思ってる?」
「……っ!」
思っていた事をズバリと言い当てられ、ドキッとする。
「いや、あの…すみません。思ってたより若い方だったんで…」
「…だよね」
「水嶋から叔父さんがいるって話は聞いてたんですけど、もっと父さんくらいの年代の人かなと思ってました」
「ははっよく言われる。姉――依の母親だね――とは実は腹違いでね。ちょっと歳が離れてるんだ」
「さ、澤北大護と言います。水嶋…さんと同じクラスで…」
「キミが……」
軽く自己紹介をした所で、男性の雰囲気ががらりと変わった。
それまで、殺気すら感じる程に鋭いナイフのようなものだったのが、ふわりとやわらかいものに。
水嶋が醸し出す雰囲気と、とてもよく似ている。
「依を怪我から護ってくれてありがとう」
「いや、俺は何も…」
「あと、手荒な真似をして申し訳ない。職業柄、どうしても不審人物には敏感になってしまってね」
「い、いえ……」
頭をかきながら、申し訳なさそうに笑う樹さん。
下心がまったくなかったとは言えないだけに、罪悪感というトゲがちくちく刺さってくるようだ。
水嶋が事情を説明する中で、キスされかけた、なんて言われたらどうしようとヒヤヒヤしていたものの、そこは特に触れられなかったので本当によかった。
あと、未遂でよかった…。
もし、あのままキスしてる時に鉢合わせていたら、俺、本気でこの人に殺されてたと思う…。
「それより!樹くんどうして今日は突然?今日は来る予定じゃなかったのに…」
「早めに仕事片付いたんだよ。それと、前来た時にちょっと忘れ物してたしな。それとも何?今日は俺来ちゃいけなかった?」
「そ…!そんな事…ない…けど……」
敬語じゃない水嶋はなんだか新鮮だ。
ニヤリと笑う樹さんに詰め寄られ、ソファで俺の隣に座っている水嶋は、言葉を濁す。
助けを求めるようにこちらに視線を送るので、同じく視線を返すと急にびっくりしたように顔を背けてしまった。
「わ、私…!お茶でも淹れてくる…!」
勢いよく立ち上がりキッチンにかけ込む水嶋。
その後ろ姿、耳まで真っ赤なのが見えていて……
何その反応…
可愛すぎだろ……
だらしなく開きかけた口を慌てて引き締める。
しかし、俺の前に座るこの水嶋の叔父という男性。
ぱっと見20代後半くらいでかなり若く見えるけれど……。
「…もしかして、本当に叔父なのか、とか思ってる?」
「……っ!」
思っていた事をズバリと言い当てられ、ドキッとする。
「いや、あの…すみません。思ってたより若い方だったんで…」
「…だよね」
「水嶋から叔父さんがいるって話は聞いてたんですけど、もっと父さんくらいの年代の人かなと思ってました」
「ははっよく言われる。姉――依の母親だね――とは実は腹違いでね。ちょっと歳が離れてるんだ」