Dear Hero
「名前こそ出さなかったから、最初はそのクラスメイトは女の子だと思っていたんだけどね。重い物持ってもらったり、今度カフェにお食事に行くんだなんてちょっとはにかみながら話す姿見てるうちに、あれ?このクラスメイトって男じゃないか?と思って名前吐かせたら澤北くんだった」
一瞬、先程みたいな鋭い雰囲気になって、驚いて背筋が伸びる。
「そんな下心丸見えなやつ許せん!と思ってそいつ締め上げてやろうかと思ってたんだけどね」
いやいや、締め上げられましたよ。
だけど否定はできなくて思わず目を逸らす。
「だんだん…笑顔が増えてくあいつを見てたら、何も言えなくなっていたよ。最近は、澤北くん家にお邪魔して料理を教わっているんだってね。今度、ご挨拶に行かなきゃだな」
「いや、俺なんもしてないですし…」
「うん、だからキミの親御さんにね」
Oh……
「最近の依は、本当に楽しそうなんだ。今日も二週間ぶりくらいに会ってみたら雰囲気が変わって女の子らしくなってて…。初めて二人を見て、なんとなくわかったよ」
……?何がわかったというのだろう。
「俺は仕事が不規則で、なかなかここにも寄ってやれない。もうすぐ結婚を控えているから、依を一番に考えてやれない事も増えてくると思う。婚約者も事情はわかってくれているんだけどね」
「……」
「だから、澤北くんがいてくれて、正直ホッとしているんだ。」
「……俺?」
「友達でもいい。それ以上でもいい。……いや、やっぱあんまり良くないかも……」
「……?」
「澤北くん。無理にとは言わないけど、依の傍にいてやってくれないか?キミが隣にいると、依は笑顔でいられるみたいなんだ」
ギュゥと胸が締め付けられるような気がした。
俺がいれば、水嶋は笑顔でいられる———?
「もちろん。強制的にではないし、責任をなすりつけるつもりもないよ。ただ…俺は澤北くんがいいなって思ったから」
ギィと音を立ててチェアーから立ち上がると、ベッドに腰掛ける俺に近づく。
慌てて立ち上がる俺。
「依を、お願いできますか」
「…っ!俺で…いいのなら…」
そっと伸ばされる手に、俺も手を重ねる。
ぎゅっと握られた手が力強い。
「俺は……水嶋の笑顔を見ていたいです。護ります。あいつを」
途端に組まれる肩。
上機嫌の樹さんにもみくちゃにされている。
「頼むぞー!澤北くん!」なんて頭ぐしゃぐしゃされながら。
ベッド脇のサイドテーブルに置かれたお茶は、溶けた氷がカランと鳴る。
俺、水嶋を笑顔にできてるんだ―――。
それがすごくすごく嬉しくて、ずっと樹さんと笑っていられたんだ。
一瞬、先程みたいな鋭い雰囲気になって、驚いて背筋が伸びる。
「そんな下心丸見えなやつ許せん!と思ってそいつ締め上げてやろうかと思ってたんだけどね」
いやいや、締め上げられましたよ。
だけど否定はできなくて思わず目を逸らす。
「だんだん…笑顔が増えてくあいつを見てたら、何も言えなくなっていたよ。最近は、澤北くん家にお邪魔して料理を教わっているんだってね。今度、ご挨拶に行かなきゃだな」
「いや、俺なんもしてないですし…」
「うん、だからキミの親御さんにね」
Oh……
「最近の依は、本当に楽しそうなんだ。今日も二週間ぶりくらいに会ってみたら雰囲気が変わって女の子らしくなってて…。初めて二人を見て、なんとなくわかったよ」
……?何がわかったというのだろう。
「俺は仕事が不規則で、なかなかここにも寄ってやれない。もうすぐ結婚を控えているから、依を一番に考えてやれない事も増えてくると思う。婚約者も事情はわかってくれているんだけどね」
「……」
「だから、澤北くんがいてくれて、正直ホッとしているんだ。」
「……俺?」
「友達でもいい。それ以上でもいい。……いや、やっぱあんまり良くないかも……」
「……?」
「澤北くん。無理にとは言わないけど、依の傍にいてやってくれないか?キミが隣にいると、依は笑顔でいられるみたいなんだ」
ギュゥと胸が締め付けられるような気がした。
俺がいれば、水嶋は笑顔でいられる———?
「もちろん。強制的にではないし、責任をなすりつけるつもりもないよ。ただ…俺は澤北くんがいいなって思ったから」
ギィと音を立ててチェアーから立ち上がると、ベッドに腰掛ける俺に近づく。
慌てて立ち上がる俺。
「依を、お願いできますか」
「…っ!俺で…いいのなら…」
そっと伸ばされる手に、俺も手を重ねる。
ぎゅっと握られた手が力強い。
「俺は……水嶋の笑顔を見ていたいです。護ります。あいつを」
途端に組まれる肩。
上機嫌の樹さんにもみくちゃにされている。
「頼むぞー!澤北くん!」なんて頭ぐしゃぐしゃされながら。
ベッド脇のサイドテーブルに置かれたお茶は、溶けた氷がカランと鳴る。
俺、水嶋を笑顔にできてるんだ―――。
それがすごくすごく嬉しくて、ずっと樹さんと笑っていられたんだ。