Dear Hero
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依が小さな頃から、海外出張に行く事の多かった依の父親。
そんな時は、いつも母親と二人でお留守番だった。
小学生になると、依は俺の実家に預けられて母親も出張について行く事が多くなっていった。
『パパのお仕事のお手伝い、ママも頑張ってくるわね』
そう告げられて。
父親の仕事が軌道に乗るまで、しばらく海外に住む事になったという話を聞いたのはその頃。
母親は残り、父親だけがいない単身赴任の予定だった。
俺の実家もそう聞いていた…のに。
父親の出発日から数日後、小学校の担任から依が学校に来ていないと実家に連絡が入り、当時大学生になりたてだった俺がマンションを訪れると、部屋の電気もつけずに泣き腫らした依がぽつんと座っていた。
『ママが…かえってこないの……』
母親は、いなくなっていた。
『突然だけどね、ママもパパのお仕事手伝いに行かないといけなくなっちゃったの。いい子でお留守番しててね』
いつもよりたくさんのスーツケースと、綺麗な化粧と服を着て。
依を実家に預ける事もなく。
父親に連絡をするも、母親は来ていないと言う。
『まさか……依を置いていくとは…』
『義兄さん、何か知ってるの…?』
『いや……また話すよ。樹くん、すまないが少しの間、依を預かってくれないだろうか?お義母さんには改めて連絡するよ』
依が小さな頃から、海外出張に行く事の多かった依の父親。
そんな時は、いつも母親と二人でお留守番だった。
小学生になると、依は俺の実家に預けられて母親も出張について行く事が多くなっていった。
『パパのお仕事のお手伝い、ママも頑張ってくるわね』
そう告げられて。
父親の仕事が軌道に乗るまで、しばらく海外に住む事になったという話を聞いたのはその頃。
母親は残り、父親だけがいない単身赴任の予定だった。
俺の実家もそう聞いていた…のに。
父親の出発日から数日後、小学校の担任から依が学校に来ていないと実家に連絡が入り、当時大学生になりたてだった俺がマンションを訪れると、部屋の電気もつけずに泣き腫らした依がぽつんと座っていた。
『ママが…かえってこないの……』
母親は、いなくなっていた。
『突然だけどね、ママもパパのお仕事手伝いに行かないといけなくなっちゃったの。いい子でお留守番しててね』
いつもよりたくさんのスーツケースと、綺麗な化粧と服を着て。
依を実家に預ける事もなく。
父親に連絡をするも、母親は来ていないと言う。
『まさか……依を置いていくとは…』
『義兄さん、何か知ってるの…?』
『いや……また話すよ。樹くん、すまないが少しの間、依を預かってくれないだろうか?お義母さんには改めて連絡するよ』