Dear Hero
夕飯も食べ終わり、テレビのチャンネル争いに負けて部屋でゲームをしていると、コンコンとノックする音。
「はいよ」と答えると、ドアから顔を覗かせたのは水嶋だった。
「お邪魔…してもいいですか?」
「…どーぞ」
ペタペタと近づき、傍にあった座布団を引き寄せ隣に座った水嶋は、風呂上りなのか、濡れた髪を後ろでまとめて水色のパジャマを着ていた。
これも、母さんと姉ちゃんが用意したもの。
小さな白い水玉模様と、襟を縁取る細かいレースが彼女によく似合っている。
「どうした?」
「あ、いえ、すみません。特にご用はないのですが…ゲーム続けてください」
「おう」
「これはどんなゲームなんですか?」
「うーん、モンスターを捕まえて図鑑完成させたり、戦って強くしてシナリオ進めてくゲーム、かなぁ。見るの初めて?」
「はい、ゲームはほとんどした事なくて…」
見やすいように、二人の間に携帯ゲーム機を寄せると興味深そうに覗き込む。
画面上に次々と出てくるモンスターを見ては「かわいい」とか「強そう」とはしゃぎ、バトルで攻撃を受けてHPがどんどん減っていくと、まるで自分が戦っているように辛そうな顔をする。
「もう風呂入ったの?早いな」
「恐れ多いのですが、一番風呂をいただいてしまいました…」
画面から目を離し、こちらを見ると申し訳なさそうに笑った。
火照った頬が、いつもと違う雰囲気で一瞬、ドキッとする。
「まじかよ…姉ちゃんが一番風呂譲るとか、明日地球が破滅するかもしれん」
「そんなに珍しい事だったんですか…!」
「俺なんて、姉ちゃんより先に入った日にゃあ、般若みたいな顔で詰め寄られた挙句、風呂のお湯全部入れ替えられてさらに一週間口きいてもらえなかった」
「な、なんて事……わ、私明日から最後に入るようにします…」
「ほんとお前VIPだよなーちやほやされてんなー俺の立場どんどんなくなるなー」
「ご…ごめんなさ…」
「冗談だよ」
「……もう」
イジワルっぽく見下ろすと、困ったように笑う。
目をキラキラさせたり、驚いたり焦ったり。表情がくるくる変わるようになったな。
「はいよ」と答えると、ドアから顔を覗かせたのは水嶋だった。
「お邪魔…してもいいですか?」
「…どーぞ」
ペタペタと近づき、傍にあった座布団を引き寄せ隣に座った水嶋は、風呂上りなのか、濡れた髪を後ろでまとめて水色のパジャマを着ていた。
これも、母さんと姉ちゃんが用意したもの。
小さな白い水玉模様と、襟を縁取る細かいレースが彼女によく似合っている。
「どうした?」
「あ、いえ、すみません。特にご用はないのですが…ゲーム続けてください」
「おう」
「これはどんなゲームなんですか?」
「うーん、モンスターを捕まえて図鑑完成させたり、戦って強くしてシナリオ進めてくゲーム、かなぁ。見るの初めて?」
「はい、ゲームはほとんどした事なくて…」
見やすいように、二人の間に携帯ゲーム機を寄せると興味深そうに覗き込む。
画面上に次々と出てくるモンスターを見ては「かわいい」とか「強そう」とはしゃぎ、バトルで攻撃を受けてHPがどんどん減っていくと、まるで自分が戦っているように辛そうな顔をする。
「もう風呂入ったの?早いな」
「恐れ多いのですが、一番風呂をいただいてしまいました…」
画面から目を離し、こちらを見ると申し訳なさそうに笑った。
火照った頬が、いつもと違う雰囲気で一瞬、ドキッとする。
「まじかよ…姉ちゃんが一番風呂譲るとか、明日地球が破滅するかもしれん」
「そんなに珍しい事だったんですか…!」
「俺なんて、姉ちゃんより先に入った日にゃあ、般若みたいな顔で詰め寄られた挙句、風呂のお湯全部入れ替えられてさらに一週間口きいてもらえなかった」
「な、なんて事……わ、私明日から最後に入るようにします…」
「ほんとお前VIPだよなーちやほやされてんなー俺の立場どんどんなくなるなー」
「ご…ごめんなさ…」
「冗談だよ」
「……もう」
イジワルっぽく見下ろすと、困ったように笑う。
目をキラキラさせたり、驚いたり焦ったり。表情がくるくる変わるようになったな。