Dear Hero
「どう?今日から新しい生活になるわけだけど」
「…正直、まだよく実感がわかなくて。今はまだもてなされているような気がするので、おうちの事たくさんお手伝いして、早くか……家族…みたいになれたらって…思います」
「焦んなくていーよ。水嶋のペースでいいから」
「そうですね、ゆっくり…がんばります」
再び、食い入るように画面に視線を移すと、まとめた上げた髪からはらりと一束くずれ、水滴を落とした。
そういや、先ほどまでホカホカさせてた熱気がいつの間にか消えている。
まだ9月とはいえ、開け放たれた窓から入る涼しい風は、温めた体を冷やしてしまうだろう。
「寒くないか?髪、濡れたままだと湯冷めするだろ」
「あの、今美咲さんがお風呂入られているので、お待ちしてるんです」
「あー…なるほど」
俺も風呂から出ようとしたら、ドライヤーを使う姉ちゃんとか颯希に洗面所占領されてて、風呂から出られない事なんてしょっちゅうあるしな…
手を伸ばしてタンスの引き出しに手をかけると、中からスポーツタオルを取り出し、水嶋に投げかけた。
「風邪ひくから、ひとまずそれでちょっと拭いときな」
「…え?え、なんですかこれ…」
突然視界を奪われ、慌てる水嶋の髪をタオル越しに拭いてやる。
最初こそ「あの…えっと…」ともごもごしていた水嶋だったが、そのうち目を閉じてされるがままになっていた。
なんだか、小学生の時に公園で見つけた猫みたいだ。
土砂降りの日に、遊具の中でびしょ濡れになって震えていた子猫を見つけて、同じようにタオルで拭いてやったっけ。
寒さなのか恐怖なのか、小さく震えていた子猫もタオルで拭いてやるうちに安心したのか喉をゴロゴロしながら「ミャー」と鳴いていた姿と、目の前の彼女が重なる。
うちでは飼えなくて連れてく事ができなかったけど、あいつどうなったかな…
「…正直、まだよく実感がわかなくて。今はまだもてなされているような気がするので、おうちの事たくさんお手伝いして、早くか……家族…みたいになれたらって…思います」
「焦んなくていーよ。水嶋のペースでいいから」
「そうですね、ゆっくり…がんばります」
再び、食い入るように画面に視線を移すと、まとめた上げた髪からはらりと一束くずれ、水滴を落とした。
そういや、先ほどまでホカホカさせてた熱気がいつの間にか消えている。
まだ9月とはいえ、開け放たれた窓から入る涼しい風は、温めた体を冷やしてしまうだろう。
「寒くないか?髪、濡れたままだと湯冷めするだろ」
「あの、今美咲さんがお風呂入られているので、お待ちしてるんです」
「あー…なるほど」
俺も風呂から出ようとしたら、ドライヤーを使う姉ちゃんとか颯希に洗面所占領されてて、風呂から出られない事なんてしょっちゅうあるしな…
手を伸ばしてタンスの引き出しに手をかけると、中からスポーツタオルを取り出し、水嶋に投げかけた。
「風邪ひくから、ひとまずそれでちょっと拭いときな」
「…え?え、なんですかこれ…」
突然視界を奪われ、慌てる水嶋の髪をタオル越しに拭いてやる。
最初こそ「あの…えっと…」ともごもごしていた水嶋だったが、そのうち目を閉じてされるがままになっていた。
なんだか、小学生の時に公園で見つけた猫みたいだ。
土砂降りの日に、遊具の中でびしょ濡れになって震えていた子猫を見つけて、同じようにタオルで拭いてやったっけ。
寒さなのか恐怖なのか、小さく震えていた子猫もタオルで拭いてやるうちに安心したのか喉をゴロゴロしながら「ミャー」と鳴いていた姿と、目の前の彼女が重なる。
うちでは飼えなくて連れてく事ができなかったけど、あいつどうなったかな…