Dear Hero
「大護、起きろ。客来てるぞ」

目の前でパンと手を鳴らされてはっと気づく。
いつの間にか記憶の海を泳いで遠くまで行ってしまっていたようだ。

「哲ちゃん。ごめん、ありがと」

急いで持ち場に戻る。
今の俺の担当は接客係。
入り口で注文係が通したお客さんをテーブルに案内して、できたメニューを届ける。
バイトしているファミレスのホール経験が役に立っていた。

今はまず、目の前の事に集中しなくちゃだ。
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