秋の月は日々戯れに

彼が答えを探して視線を彷徨わせるたびに、彼女の表情がまた少しずつ変わっていく。

明らかに、疑わしいものを見る目に――。


「そうですね。わたしも具体的に聞きたいです。あなたは、どんなときに浮気をしようと思うのですか?」


気がつくと、質問者が一人増えている。

最早これはただの尋問では?と思ったが、生憎と彼女も同僚も逃がしてくれる気配はない。


「例えば遠距離恋愛とかしてると、彼女と離れてるのが寂しくて浮気しちゃうってのはあるでしょ?じゃあ近くにいる場合は?近くにいても、やっぱり寂しいの?寂しいから浮気しちゃうの?」

「いや、そんなの俺に分かるわけ……」

「あなたは、わたしにはない温かさと健康的さに惹かれて、二度ほど浮気しようとしましたよね!それってつまり、わたしに不満があったということですか。今回のその妙に動揺しているところも、二度あることは三度あるということなのですか!!」

「お願いだからあなたはちょっと黙っててもらえますか!」


彼女が話に加わると、なんだか変にややこしくなる。
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