秋の月は日々戯れに

彼と彼女と受付嬢の話2



「おはようございます。あっ、そうだ!先日ご依頼頂いた女の子が喜びそうなケーキ屋さんですが、幾つかまとめてみましたのでこちらを。交際一年目のお祝いということでしたので、予約をすれば特別な演出をしてくださるお店を選んでみました」


そう言って受付嬢が差し出したファイルを、男性社員が「本当にありがとう!助かるよ」と嬉しそうに受け取る。

その男性がファイルをめくりながら立ち去ってすぐに


「おはよう、愛美ちゃん!突然で申し訳ないんだけれど、今日が妻の誕生日なのすっかり忘れていて、さっき思い出したんだよ。何かプレゼント……もそうなんだけれど、やはり今日は外に食事に行くべきかな?」


別の男性社員が困り顔で駆け寄ってくる。


「おはようございます。そうですね……すぐに予約ができるお店も幾つかご紹介できますが、せっかくなのでケーキと、それからワインかシャンパンを買って帰って、ご自宅でゆっくりお誕生日を祝われるのもいいと思いますよ」


「なるほど……」と頷いた男性に、受付嬢は更に
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