秋の月は日々戯れに
「あなたの妻であることを強く主張します!!」
ぞわっと全身に鳥肌が立って体が震え、腰の辺りが氷を押し付けられているように冷たくなる。
エアコンが効いて部屋は温まっているはずなのに、腰周りだけが異様に寒い。
離してくださいと言いたくて見下ろした先、彼女はほんの少し怒ったような顔で彼を見上げていた。
「やかんの次は、笑顔の素敵なあの受付の方ですか。わたしにはないあの健康的さに惹かれたというわけですか!でも絶対ダメです。浮気は許しませんし、正妻の座も譲りません!!」
また意味の分からないことをと思ったが、彼女は真剣な顔をして怒っている。
ついさっきまで、しょげかえっていたのと同じ人物とは思えない変わりようだ。
この様子では、やはり無理やり引き剥がすしかないかと思ったが、伸ばした手はやっぱり触れる前に躊躇して止まる。
その白すぎる肌は、何となく触るのが怖かった。
その間にも、じわりじわりと腰から冷たさが広がっていって、ゾワゾワと背筋が粟立ち鳥肌が止まらない。