秋の月は日々戯れに

パソコンの画面を見つめて、ぼんやりとキーボードを叩く。

何度も打ち間違えて、その度にやり直して、いつもの倍は時間をかけて仕事を片付けていく。

最近こんな日が増えたせいで、仕事のペースが格段に落ちていた。

仕事に私情を持ち込んではいけないことくらい分かってはいるのだが、分かっているからといってできるかどうかは別の問題でもある。

努力はしているが、成果は出ていない。

不意に、トントンと肩を叩かれて彼が後ろを振り返ると、ひどく心配そうな顔の上司が立っていた。


「……さっき、お前が置いていったこの書類だけどな、取引先の名前間違えてるぞ。それから、ここと、あとここも変換ミス」


渡された書類を確認してみれば、確かにそこには、些細なミスが連発されていた。


「すみません。すぐにやり直します」


深々と頭を下げた彼は、内心で小さくため息を零す。

今日はこれで何度目だろう――ミスの数を数えてもしょうがないことくらい分かってはいるが、これが一度目ではないから気が滅入る。

上司に対する申し訳ない気持ちと、上手く切り替えられない自分に対する苛立ちが、また募った。
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