秋の月は日々戯れに
仕事を押し付けられたことは数あれど、手伝ってくれたことなんて、片手の指で足りるほどしかない。
それも、こんなふうに自主的に手伝ってくれたことなんて今までになかったから、ただただ驚きが隠せず、彼は呆然と同僚を見つめる。
その視線から逃げるように顔を逸らし、しばらく下を向いていた同僚は、やがてチラッと目線を上げて、伺うように彼を見た。
「前からずっと聞こうと思ってたんだけど、本当にあっきーと結婚してないの?だとしたら、あっきーとはどういう関係なの?」
しばらく考え込むように口を閉ざした彼は、やがて疲れた顔に僅かに笑みを浮かべて同僚を見つめた。
「どういう関係に見える?」
誰かに一度、聞いてみたいと思っていた。
自分と彼女は、一体どんな風に見えていたのか――。
答えはなんとなく予想がついていたから、聞く前からもう顔が笑ってしまった。
そんなことは露知らず、同僚は一瞬怪訝そうに眉をひそめたあとで、至極当たり前のように答えた。
「夫婦にしか見えない」
その通りだとも、そうではないとも、彼は言わない。
でも、予想通りだったその答えに、微かに笑みは深まった。
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